Question
よくある質問
Q&A PE・PP管
1.材料 (3)
PE100は、ISO/TR9080に規定する外挿方法1)で認定された高密度ポリエチレンで、材料の発達の歴史から第三世代高密度ポリエチレンと呼ばれています。PE100は高分子量領域を増加させるとともに結晶と結晶をつなぐ分子(タイ分子)を増やすことで、結晶どうしの間で、き裂を生じにくくさせ、長期静水圧強度と耐環境応力き裂性2)を向上させた。また、低分子量領域を最適化することで、耐衝撃性を向上させた材料です。
注1) 外挿とは、ある既知の数値データを基にして、そのデータの範囲の外側で予想される数値を求める方法であります。
注2) 環境応力き裂とは、プラスチックに力が加わった時に、ある種の外部環境物質(特に有機溶媒分子)が存在すると、クラックの発生・伝播により破滅的な破壊を起こす現象であります。
PPの化学式は [-CH2-CH(CH3)-]n で、ポリプロピレンは次の3通りに分類されます。
- ホモポリマー(PP-H)
- ブロック・コポリマー(PP-B)
- ランダム・コポリマー(PP-R)
PP-BとPP-Rは、PPにエチレンを少量共重合させたものです。また、ホモポリマーには結晶構造の違いによりβタイプPP-HとαタイプPP-Hに分類されます。 βタイプは非常に均質で微細な結晶構造を有しておりαタイプやPP-Cに比べ優れた特性を持っています。 化学工場などの配管にはPP-Hが最も優れた特性を持っています。最新の重合技術により生産されたPPの高性能素材を“β-PP-H(ベーター・ポリプレン・ホモポリマー)”という。従来の製品と比較して、強靭で信頼性の高い特性を有しています。
PP-H(ホモポリマー) | PP-H(ホモポリマー) | PP-C(コポリマー) | |
構造 | β-PP-H | α-PP-H | PP-R |
MRS1) | MRS 10 | MRS 10 | MRS 8 |
耐衝撃性 | 良い | 低い | 良い |
長期性能 | 良い | 普通 | 普通 |
耐薬品性 | 良い | 普通 | 普通 |
注1) MRS=Minimum required strength (最小要求強度)
20℃(水)で50年間、管が破壊しない一定応力値の信頼下限値が10MP以上あることを証明された樹脂。(内圧クリープ試験で得られたデータから予測した値)
化学工場などでは、流れる薬品、薬液の温度、圧力、配管状況(露出又は埋設)などから判断して使用管材を選定することになります。
その判断を行うために、情報の一つとして耐薬品を調べなければなりません。
2.設計(仕様・圧力) (5)
SDRとは、パイプの基準外径と最小厚さの比(Standard Dimesion Ratio)=D/tを表しています。例えば、PE100やPP-Hには、SDRが11、13.6、17.6 のパイプがあります。
PE100はISO/DIN 3212の内圧に対する長期特性テストに基づいて、20℃での最大使用圧力1.6MPaであり、使用期間50年間、設計安全率1.25で計算されています。同様に、PP-H は25℃での最大使用圧力1MPaであり、使用期間25年間、設計安全率2.0で計算されています。
黒色のポリエチレン管は、水道水に含まれる塩素がポリエチレン管に配合されているカーボンブラックと化学反応を起こし、管内面に水泡・剥離発生の原因になります。従って、水道配水用ポリエチレン管は、青色でカーボンブラックは含まれていません。黒色PE100は水道用途以外の用途で使用され、露出配管においても耐候劣化などの問題はありません。
水道配水用PE100は、実使用温度が20℃±15℃(5℃~35℃)で、最大使用圧力1.0MPa です。
本来PE100は、20℃で使用期間50年間の場合には、最大使用圧力1.0MPaで安全率2.0、最大使用圧力1.6MPaで安全率1.25であります。
両者の違いは、20℃での安全率の違いによるものです。
最小要求強度は、管が20℃で50年間耐える周方向応力のこと、20℃、60℃、80℃の3水準で約1万時間以上の熱間内圧クリープ試験を行い、ISO TR9080に従い、20℃で50年外挿下方限界を求めたときの最小要求強度(MRS:Minimum Required Strength)で示されます。PE100は最小要求が10.0MPaを証明された樹脂で、PE100に分類されます。
3.施工 (3)
黒色のポリエチレン管は露出配管で問題ありません。しかし、青色の水道配水用ポリエチレン管は管表面が紫外線劣化の恐れがありますので、露出配管に問題あります。同様にグレー色のPP-Hについても露出配管に問題あります。防護すれば配管することができます。
EF接合は、電熱線が埋められた継手に通電することによりヒーターが加熱され、管と継手が融着される接合する方法です。一方BF接合は、加熱された熱板で管端部を加熱し、熱板を取り除いて管同士を押し付けて融着接合する方法です。
BF接合に熟練を要し、施工管理が難しいため、水道管路での水道配水用ポリエチレン管の接合に行われていません。
正しく接合されると、接合強度に差はありません。
バット融着は熱板に直接管を押し付けて管端部を加熱軟化させて、その後管同士を押し付けて融着接合する方法であります。IRバット融着接合は、管を熱板で非接触で加熱させて、その後管同士を押し付けて融着接合する方法であります。
IR接合の特徴は、次の通り:
- 非接触のため、接合部に汚染のリスクが少ない。
- 最小限のビードで接合が可能。
- IR融着後の管接合部の寸法精度が、バット融着に比べて優れています。